Windows11版OpenFOAMのインストール方法

Ubuntu 22.04LTS & OpenFOAM® v2306

 「Windows Subsystem for Linux」を利用して、仮想環境を構築することなくWindows11マシン上でOpenFOAMを利用するためのインストール方法を紹介します。
 なお、今回インストールするバージョンはLinuxがUbuntu 22.04LTS、OpenFOAMはOpenCFD版のv2306になります。

インストレーションビデオ(約10分)

 Windows Subsystem for Linuxの有効化方法から、Linux(Ubuntu)、OpenFOAMのインストールまでの一連の操作をビデオにしました。細かいコマンド等は、下の説明ならびにダウンロードサイトの説明を参考にしてください。
 なお、インストールするマシンの状態により表示される内容が異なる場合があります。

Windows Subsystem for Linuxの有効化

 まずはWindows Subsystem for Linuxを有効化します。
 画面下のスタートメニューから「設定(歯車アイコン)」を開きます。
 表示された左側のメニューのなかから「アプリ」を選択(クリック)します。

 アプリページにある「オプション機能」をクリックします。

  下の方にスクロールし「Windowsのその他の機能」をクリックします。

 新しいウィンドウが開きます。
 リストの中から「Linux用 Windows サブシステム」にチェックをして「OK」します。

 少し処理の時間があります。
 その後、下の画面になったら有効化をするために、一旦再起動します。

Linux(Ubuntu)のインストール

 次にLinux(Ubuntu)のインストールに移ります。今回はMicrosoft Storeからインストールします。
 スタートメニューのアプリケーション一覧から「Microsoft Store」を起動します。
 Microsoft Storeの画面上部に検索ボックスがありますので、「ubuntu」と入力します。
 バージョンがいくつか表示されますが、基本的には最新版(今回の場合は22.04 LTS)を選びます。

 クリックをするとUbuntuのインストール画面になります。
 「入手」をクリックしてUbuntuをインストールします。
 ※Microsoftアカウントが必要な場合があります。

 Ubuntuのダウンロードとインストールが終了すると、ボタンの文字が「開く」に変わります。

 WindowsへのUbuntuのインストールは終了しましたが、このあとUbuntu本体のセットアップが必要です。
 インストール後アクティブになる「開く」ボタンか、WindowsのスタートメニューからUbuntuを起動します。
  はじめてUbuntuを起動したときは、自動的にセットアップのプロセスになります。その後ユーザー名(Ubuntuのみで使用)とパスワード(Ubuntuのみで使用)を登録します。

 Ubuntuのセットアップが終了すると、最後に「$」が表示され、入力待ち状態になります。 (セットアップには少々時間がかかります)
 これで、インストール作業は終了です。

【Ubuntuのアップデート作業】

 Ubuntuのインストール後、最新のモジュールにアップデートをします。
 入力待ちの状態(「$」が表示されている状態)でコマンドを入力します。

  $ sudo apt update

 この処理が終了したら、続けて

  $ sudo apt upgrade

 途中、Ubuntuのパスワードを聞かれる場合があります。また処理を続けるための(Y/n)の入力が必要ですので、その場合は「Y」で続行します。
 少々時間がかかりますが、最後に入力待ち状態になったらアップデート処理は終了です。

OpenFOAMのインストール

 今回インストールするOpenFOAMはOpenCAE版(ESI版)のv2306です。インストール方法は下記サイトの手順に従ってください。
 冒頭のインストレーションビデオでは、一連の操作が全部収録されていますが、ここでは手順の概略を紹介します。
 まず、OpenFOAMのサイトを開きます。

OpenCAE版 OpenFOAMのサイト
https://www.openfoam.com/

 トップメニューの中の「Download」から「Windows」をクリックします。
 遷移先ページの MS-Windows>Windows Subsystem for Linux>3.Install OpenFOAM に「Follow the regular installation/update instructions for Ubuntu or openSUSE.」という文があり、「Ubuntu」の箇所がリンクになっているのでクリックします。
 遷移先の Debian / Ubuntu の項目に、モジュールのインストール方法が記載されています。

【OpenFOAMのインストール】
 まず、Ubuntuを起動します。
 次に上記のモジュールのインストール方法が記載されたページの Debian / Ubuntu の項目を開きます。
 「OpenFOAM repository」項目にコードが書いてあるので「sudo apt-get install openfoam2306-default」まで順に実行していきます。それ以降はエラーが出た時の対処法なので該当する場合は実行して下さい。

 ※コマンドは基本的にコピーペーストでOKです。OpenFOAMのサイトにあるコマンドを[CTRL]+Cでコピーし、Ubuntuではマウスの右クリックでペーストできます。

 途中、数分処理に時間がかかるところがありますが、最後のコマンドを実行して、「$」が返ってきたらインストールは終了です。

OpenFOAMインストールの確認

 最後に正常にインストールが出来たか、用意されているチュートリアルデータを実行して確認します。

 まず、インストールしたOpenFOAMを有効化します。
  $ openfoam2306
 
 この後実行するコマンドを確認するため、OpenFOAMのサイトを開きます。「https://www.openfoam.com/
 ページを下にスクロールしていくと「DOWNLOAD」「TRAINING」「SUPPORT」という3つのボタンがあるので、「DOWNLOAD」をクリックします。
 遷移先の「Windows」項目にある「Windows 10 native (WSL)」のリンクをクリックします。

 遷移先のページを一番下までスクロールすると「Check everything is OK」の項目がありますので、インストール時と同様、順番にコマンドを実行していきます。
 コマンド中の<USER>はWindowsのユーザー名(ログイン名)になりますので、コマンドを実行する前に書き換える必要があります。

 コマンドの最後から2つめ、「icoFoam」が計算実行のコマンドになります。問題無く終われば、各時間の情報と最後にENDの表記になります。何かしら問題があった場合には、計算中に出力されるリストの中にERRORの表記があるはずです。
 最後に<計算名>.foamの空ファイルを作れば、ParaViewなどで読み込み、結果を表示することができます。

おことわり
 インストール方法はインストールするPCの環境、モジュールのバージョンなどによって変更される場合があります。また、本ページの方法は数ある方法の1つであり、様々な環境での検証は行われておりません。