いきなりOpenFOAM (73)

サーキュレータファンの流れ解析(その1)

解析モデル

 今回から、サーキュレータファンの流れをOpenFOAMで解析してみます。サーキュレータファンは、安全対策のガードなどを除くと、図3に示すように、羽根と羽根周囲の円筒、羽根の回転方向と逆向きに曲がった別の羽根から構成されています。便宜上、羽根を動翼、羽根周囲の円筒をダクト、羽根の回転方向と逆向きに曲がった羽根を静翼と称することにします。なお、羽根周囲の円筒はシュラウドと呼ばれることもあります。
 今回は、図1に示す動翼のみ、図2に示す動翼とダクト、図3に示す動翼とダクトと静翼の3種類のモデルで解析を行い、ダクトと静翼が、流れに及ぼす影響を見てみます。

 まず、図1の動翼のみのモデルで解析を行ってみます。図4に示すように、解析領域を作成します。先端が半球の円筒で囲んだ領域を作成します。半球および円筒表面に境界条件として全圧0を設定するため、半球及び円筒での流速が十分に小さくなるように、半球および円筒の半径は動翼に対して十分に大きな値にする必要があります。また、円筒の長さは、想定される気流よりも十分に長くする必要があります。ただし、今回は、計算速度を優先して少し狭い領域とし、半球および円筒の直径を動翼直径の5倍に、円筒長さは5mとしています。
 各部の名称は、解析モデルの動翼の部分をblade、ダクトと静翼の部分をduct、また、半球と円筒の表面をboundという名称でstlファイルに出力します。なお、図1で動翼下の円柱部分もductとなります。

図4 解析モデル
メッシュ作成と条件設定

 次に、ブラウザでXSimサイトに接続し、出力したstlファイルのインポートとスケールの変更を行います。メッシュ設定では、図5に示すように、目標ベースメッシュ数をデフォルトの10倍に設定します。さらに、図6に示すように、動翼を囲むように円筒状の再分割領域を設定します。なお次回解析を行う図2と図3に対応するモデルでは、再分割領域をダクトと静翼も含まれる範囲に設定しますので、今回も同じ大きさに設定することで、再分割領域の違いによる影響をなくすようにします。レイヤーメッシュ設定では、bladeとductとにデフォルトでレイヤーを設定します。boundは開放状態となるので、レイヤーは不要です。

図5 メッシュ設定
図6 再分割領域設定

 次に、基本設定で、「回転領域」にチェックを入れます。また、定常解析を選択します。
物性設定では、物性として「Air」を選択します。初期条件では、速度を0に設定します。また、流れ境界条件では、boundに全圧0を、bladeとductとに静止壁を設定します。
 続いて、回転領域では、図7に示すように、領域タイプとして「円柱」を選択し、動翼周りに、円柱状の領域を設定しますが、次回解析する、図3のダクト内面と静翼とに接触しないような大きさにします。前述の再分割領域の設定と同様に、回転領域の大きさと位置とを図3の場合と同じに設定することで、回転領域の違いによる影響をなくすようにします。回転速度は1秒間に25回転するものとして、9000°/sとします。詳細は、いきなりOpenFOAM第69回を参照してください。

図7 回転領域設定

 最後に、計算設定では、緩和係数をデフォルトよりも小さな値に設定します。今回は、速度、乱流エネルギー、乱流散逸率を0.7から0.5に、圧力を0.3から0.2に変更します。なお、緩和係数はモデルや計算条件により異なります。したがって、./Allrun –mでメッシュ生成した後、simpleFoamで計算と2段階に分け、緩和係数の見直しが必要な場合は、sytemフォルダ内のfvSolutionファイルをエディタで直接修正すると効率的です。詳しくは、いきなりOpenFOAM第25回を参照してください。

計算の実行

 出力設定などを行い、保存した解析ファイルを展開し、端末からコマンド./Allrun –mでメッシュ生成、その後、simpleFoamで計算を行います。

結果の可視化

 計算が終了したら、paraFoamと入力すると、結果を可視化できます。
 図8は縦断面の流速分布を表示したもので、特に問題はなさそうです。サーキュレータファンの性能を評価するために、今回は、風速1m/sの等値面の大きさを調べてみます。なお、風速1m/sはビューフォート風力階級表では、「煙がなびく程度であるが、風見には感じない程度」の風速です。
 等値面を表示するには、スカラー量を選択して、表示させたい値を設定しますが、ParaViewでは流速の大きさを直接選択できないため、電卓アイコンをクリックし、Propertiesの欄に、sqrt(U.U)と入力し、指定の変数に流速の大きさを登録します。次に、等値面アイコンをクリックし、前述の登録された変数を選択し、値を1に設定すると、風速1m/sの等値面が図9に示すように表示されます。詳細は、いきなりOpenFOAM第71回を参照してください。

図8 縦断面流速分布
図9 流速1m/sの等値面

 次回は、ダクトや静翼を組み合わせた、図2と図3のモデルを解析してみます。

 このページでは、各アプリケーションの操作説明は省略しています。FreeCADの具体的な操作については、いきなりOpenFOAM第5回および第7回、OpenFOAMでの計算実行は第8回、ParaViewの操作については第3回第4回および第8回を参考にしてみてください。

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