いきなりOpenFOAM (43)

ボトルへの注水(その2)

解析モデル

 前回はボトルへの注水をOpenFOAMで解析してみました。ノズルから供給された水は液面に到達すると、周囲の空気を巻き込みながら、ボトル底部に向かうことがわかりました。今回は、ボトル底部の形状が空気の巻き込みに影響するのかを、ボトル底部の形状を変更して解析してみます。

 ノズルから液面までの距離も空気の巻き込みに影響する可能性があります。そこで、ノズルから液面までの距離が同じになるようにボトル底部の形状を変更します。三角錐の体積は同じ直径・高さの円柱の1/3になることから、例えば、ボトル下部の長さ200mmの下側15mm分を円柱、45mm分をボトル内部から見て底部が凹になる部分、30mm分を底部が凸になる部分とすると、高さ15mm分の体積を超えた水量からはノズルと液面までの距離は同じになります。このようにして、図1、図2、図3に示す形状のモデルを作成します。

 それぞれのモデルを面要素に分割し、領域ごとにSTLファイルを出力し、XSimで前回の解析と同様にメッシュ設定を行います。出力された解析ファイルで./Allrun –mと入力し、メッシュを生成し、生成されたpolyMeshフォルダを前回の解析で利用したひな型のファイルに移動します。解析用のひな型のファイルは同じものを3つ用意し、それぞれ、3種類の形状のpolyMeshフォルダを移動すれば、同じ条件で計算できます。メッシュ生成と解析については、いきなりOpenFOAM第42回を参照してください。

計算結果

 それぞれの計算結果から、水面形状を表示した結果が図4から図9です。それぞれ、図4、5は底部が平ら、図6、7は底部が凹、図8、9は底部が凸となる形状での水面の形状と縦断面形状です。図を見ると、底部が凹となる形状で、空気を巻き込む長さが大きく、一方、底部が凸となる形状で、空気を巻き込む長さが小さくなることがわかります。ノズルからの水流が底部に到達するような状況では、底部が凸となる形状では、液面から底部までの距離が短くなるため、巻き込む長さも小さくなるものと考えられます。

 なお、OpenFOAMでは流速なども計算されているため、ParaViewで断面流速分布を表示して、撹拌の状況を調べることもできます。今回はサンプルとして、わかりやすい水面形状を例にしました。
 次回は、自由表面計算で任意形状の初期条件を設定する方法を説明したいと思います。

 このページでは、各アプリケーションの操作説明は省略しています。FreeCADの具体的な操作については、いきなりOpenFOAM第5回および第7回、OpenFOAMでの計算実行は第8回、ParaViewの操作については第3回第4回および第8回を参考にしてみてください。

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