いきなりOpenFOAM (33)

VOF法による自由表面計算

VOF法とは?

 今回から、気液二相流の解析を行います。気液二相の解析手法はいくつかありますが、代表的な手法としてVOF(Volume of Fluid)法について説明します。

 VOF法では、各格子内で2種類の流体の体積割合をVOF関数値として計算します。例えば、水-空気であれば、図1に示すように、格子内のVOF関数値が1ではその格子は水で満たされていて、VOF関数値が0ではその格子は空気で満たされています。格子内のVOF関数値が0~1の場合、そのセルに界面が存在すると考えます。

図1 格子内のVOF関数値
OpenFOAMでの設定

 OpenFOAMでは、VOF関数値は変数alphaで表され、計算ケースのシステムフォルダ内のfvschemesファイルをエディタで開くと、図2に示すように、alphaに関する式を解いていることがわかります。

図2 fvschemesファイル

 また、初期条件と境界条件は、0フォルダ内のalphaWaterOriginalファイル内にあり、図3に示すように、各領域でのalpha値を設定することで、空気が流入するのか、水が流入するのかを設定します。

図3 alphaWaterOriginalファイル

 流体の物性値は、constantフォルダ内のtransportPropertiesファイルに、水と空気両方の動粘性係数と密度が記載されています。

図4 transportPropertiesファイル

 今回は、VOF法の概略とOpenFOAMでの設定ファイルを紹介しました。
 次回は、Tutorialケースを計算してみます。

 このページでは、各アプリケーションの操作説明は省略しています。FreeCADの具体的な操作については、いきなりOpenFOAM第5回および第7回、OpenFOAMでの計算実行は第8回、ParaViewの操作については第3回第4回および第8回を参考にしてみてください。

おことわり
 本コンテンツの動作や表示はお使いのバージョンにより異なる場合があります。
 本コンテンツの動作ならびに設定項目等に関する個別の情報提供およびサポートはできかねますので、あらかじめご了承ください。
 本コンテンツは動作および結果の保証をするものではありません。ご利用に際してはご自身の判断でお使いいただきますよう、お願いいたします。