いきなりOpenFOAM (9)

円柱周りの流れを計算する

FreeCADでの形状作成

 今回は、円柱周りの流れを解析してみます。具体的には、流速10m/sの気流中の直径100mmの円柱周りの流速分布と静圧分布を求めます。
 FreeCADを起動し、図1に示すように、円柱と風洞に相当する直方体を配置します。次に、直方体から円柱を切り抜き、面要素に分解します。分解した面要素を流入口、流出口、円柱表面、その他の面ごとにstlファイルを出力します。

図1 モデル形状・寸法
XSimでの条件設定

 ブラウザを起動し、XSimに接続します。プロジェクト名を入力し、モデルのstlファイルをドラッグドロップでインポートし、スケールを変更します(図2)。

図2 形状のインポートとスケール変更

 円柱周りに図3に示すように、再分割領域を設定します。

図3 再分割領域設定

 続けて図4に示すように、円柱表面にレイヤーメッシュを設定します。

図4 レイヤーメッシュ設定

 基本設定で、定常計算、終了サイクルを500、乱流にチェックを入れ、乱流モデルは標準k-εモデルを選択します(図5)。

図5 基本設定

 物性設定で物性名の横にあるノートアイコンをクリックし、Airを選択します(図6)。

図6 物性設定

 初期条件で静止状態を設定します(図7)。

図7 初期条件設定

 境界条件では、図8に示すように、流入口は流速10m/s、流出口は自然流入出、円柱表面は静止壁を設定します。領域名はFreeCADで作成したstlに付けられていた名前になります。

図8 境界条件設定

 計算設定で並列数を入力します。その他の項目は今回もデフォルトの設定で計算します(図9)。

図9 計算設定

 出力設定で出力間隔を入力し(図10)、最後に、OpenFOAMのバージョンに相当するフォーマットを選択し、「エクスポート」をクリック、解析ファイルをダウンロードします(図11)。

図10 出力設定
図11 解析ファイルをエクスポート
OpenFOAMでの計算

 XSimでエクスポートしたzip形式の解析ファイルを右クリック→展開として、ファイルを展開します。展開したフォルダ内で、マウス右クリック→端末を開くを選択し、ターミナルを起動します。Allrunファイルに実行権限を与えます。次いで、./Allrunと入力すると、メッシュ分割と計算が自動で行われます。
 OpenFOAMでの計算、およびファイル操作の詳細は、いきなりOpenFOAMの第2回、第8回を参照してください。

ParaViewでの結果の可視化

 計算が完了し、ターミナルが入力待ちとなったら、paraFoamと入力すると、解析結果を読み込んでParaViewが起動します。
 なお、今回はParaViewの操作については割愛しています。ParaViewの操作については、いきなりOpenFOAMの第3回、第4回および第8回を参照してください。

 図12はメッシュを表示したものです。円筒周囲でメッシュが細分化されていることがわかります。

図12 メッシュ

 図13は流速分布のベクトル表示です。円柱後方で渦が発生していることがわかります。

図13 流速分布(ベクトル表示)

 図14は流速分布のコンター表示です。円柱後方には、流速の小さい後流が発生していることがわかります。

図14 流速分布(コンター表示)

 図15は静圧分布のコンター表示です。円柱上流側の面は流れの衝突圧を受けて、円柱には流れ方向への力が加わりますが、同時に円柱下流側には負圧域が発生し、円柱には流れ方向に引っ張る力が加わります。この2つの力の和が円柱に働く抗力となります。

図15 静圧分布

 これで、円柱周りの流れの解析は終了です。
 今回XSimでの設定内容以外は、具体的な操作手順を割愛しました。
 FreeCADの具体的な操作については、いきなりOpenFOAM第5回および第7回、OpenFOAMでの計算実行は第8回、ParaViewの操作については第3回、第4回および第8回を参考にしてみてください。

 次回は建物周りの流れを解析してみます。

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