モーター特性を加味した送風機特性の解析
送風機の製品または試作品がある場合には、JISB8330-2000に規定される方法により、送風機の特性を得ることができますが、設計段階においては、羽根車の形状や組み合わせるモーターの特性をすべて試作することは困難です。一方、流体解析の場合は、3次元のCAD形状があれば、送風機の大きさやスペックの制約を受けることなく、特性を把握することができます。
モデル形状と解析空間
今回は軸流ファンの特性を把握するために、羽根車とそれを取り囲むシュラウドの3次元CADデータを用意しました。この3次元CADデータは固体部分ですが、送風機の特性に影響を与えない範囲で計算する領域(空気の部分)を付け加え、解析用のモデルにします。


静圧-流量およびトルクの計算
まず、回転数が一定という条件で、流量ごとの静圧を計算します。分割数は特性を把握するために、今回は11点としました。各流量での静圧、およびトルクをまとめると、図3ようになります。

流量の補正と送風機特性
ターボ機械の比例則(流量は回転速度に比例し、圧力やトルクは回転速度の二乗に比例する)を用いて、それぞれの流量で、求めたトルクとモータートルクが一致する回転数を求めます。

求めた回転数で流量と圧力を補正すると、モーターと組み合わせた送風機の特性を得ることができます。

流れの可視化
流体解析では吹出後の流れの状態や羽根表面の圧力分布、相対速度など、実測では容易に確認できない情報を目視で確認することができます。

まとめ
今回はモーター特性を加味した送風機の特性解析を紹介しました。羽根形状の変更などにより特性が変わる場合にも、試作品を作成することなく、短時間で検討することが可能です。また、モーター特性を加味することで、組み合わせるモーターによる送風機特性の違いも把握することができます。また、結果の可視化によって流れの状態を把握し、より効率の良い羽根設計に役立てることが可能です。
おことわり
今回の検討はある一定の条件下でのシミュレーション結果になります。異なる条件では違った結果や傾向になる場合があります。また、このシミュレーション結果は実現象の再現を保証するものではありません